大失敗、斜鏡損傷&斜鏡センターマークの理解
〜斜鏡センターマークはセンターではない〜

2022/9/19掲載

MT-200の主鏡と斜鏡の再メッキが終わり、それぞれにセンターマークをつけて、本日、光軸調整を行ないました。
非常に強い台風14号(沖縄付近では910hPaまで成長)が近づく中、じっくりと取り組む予定だったのですが、 大失敗をしでかしてしまい意気消沈状態です。
何があったかといいますと、調整中に謎な現象に悩まみ、考え事をしながらセンタリングチューブ(サイトチューブ)を取外して、オートコリメータを付けようとした時に、本来はネジ山に掛かるはずのタイミングで、 スルッと鏡筒の中へ入り込みそのまま斜鏡に直撃してしまいました(泣)。

大失態の顛末

fig1

最初に、サイトチューブで斜鏡のセンターマークを中心に合わせ、主鏡のセンターマークに向けて斜鏡を調整、主鏡も大まかに合わせて、オートコリメータへ交換しました。
オートコリメータで斜鏡→主鏡と順に合わせると、あっという間にほぼ合った状態に・・・
斜鏡の回転もできるだけ追い込もうとサイトチューブに付け替えたところで、ある疑問に取りつかれてしまいました。
斜鏡の外径がサイトチューブの内径と同芯円状になっていない!

それらを合わせると、今度は斜鏡のセンターマークが主鏡側へずれる!

なんでだろう?と 頭の中がその疑問で一杯になった状態で、サイトチューブを取外し、望遠鏡を見ずにオートコリメータを取り付けようとしたところで、冒頭の事故が起こってしまいました。


fig2

サイトチューブ(センタリングチューブ)を外した状態。


fig3

ここに、考え事をしながら手元も見ずにオートコリメータを嵌めようとして、そのまま中に落としてしまったわけです。


fig4

本来はこの黒リングを付けて取り付けるのです。


fig5

慌てて斜鏡を取り出したところ、幸いなことに割れや欠けはなく、角度を変えて見ると、うっすら当たった痕跡が見えました。
再メッキから上がってきたばかり、一度も使用することなくキズものに・・・落胆、半端ないです。


センターマークの理解

さて、なぜ、センターマークと外径が矛盾するのか?
鏡筒内の鏡の位置関係を思い描いていたら、ようやくわかりました。

fig6

上図は、鏡筒の模式図とサイトチューブより覗いた時の、斜鏡の外径とセンターマーク、サイトチューブの内径と十字線を説明しています。

今回、 斜鏡のセンターマーク描き(MT-200)で説明したように 楕円の斜鏡のちょうど真ん中にセンターマークを打っています。 そのセンターマークをサイトチューブの十字線に重なるように調整した状態が、①の斜鏡&センターマークになります。
この場合、斜鏡の中心は、接眼部の中心軸上に来るのですが、斜鏡は筒先側が接眼部に近く、主鏡側が遠くなるため、サイトチューブの内径と比べると斜鏡の外径は、筒先側に寄って見えることになります。
なんとも当たり前のことに惑わされました(汗)
①は視野に対する斜鏡の配置としては不適で、②のようにサイトチューブの内径に同芯円状になるように斜鏡を配置する方が適切です。この場合は、斜鏡の楕円の真ん中に打ったセンターマークではサイトチューブの十字線には重なりません。

というわけで、 オフセット斜鏡でない場合でもセンターマークは、楕円の中心からオフセットが必要ということを理解しました。
【2023/1/8訂正】
斜鏡の中心にセンターマークを描くと斜鏡外径とサイトチューブ内径が同芯円状にならないことを理解しました。

これまで、ε-180EDの斜鏡オフセット型の鏡筒では斜鏡のセンターマークを使ってその位置を合わせていましたが、MTシリーズでは、斜鏡の外径を見ながら位置調整をしていました。今回、斜鏡のセンターマークを使ったことで落ち着いて考えれば簡単な問題に頭を悩ませてしまうことになりました。
高い勉強代になりましたが、知見が深められたということで良かったと自分を慰めてます。

今後、オフセット斜鏡ではない MTシリーズではセンターマークは使わないことにします。
【2023/1/8訂正】
斜鏡の最適位置を考察した結果を反映したセンターマークを使うことにしました。

さて、斜鏡の方は、歪みが出ていないことを祈って、再度、再メッキを問い合わせすることにします。

【補足】
光軸調整の際に、主鏡への工具落下を起こさないよう鏡筒は必ず横向きで調整するようにしておりましたが、接眼部の向きについても、今回のような斜鏡への物の落下を防ぐため、横向き(水平)にした方が良いと思いました。ただ、横向きに覗くとなると机の上に置くなど、準備が必要で少々面倒ですが次回の調整ではやってみたいと思います。


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