星友から、QHY268C(マウント構造が旧タイプ)にフィルタボックスとEFマウントを取り付けできないか相談を受けました。
最新のQHYYCCDのQHY268Cのマウント構造(新タイプ)はQHY268Mと同じショートフランジバックタイプになっていますが、旧タイプのマウントはテーパ構造で新タイプのようにマウント部を取り外すことができません。
この図がQHYCCDより公開されていた旧タイプのマウント構造です。
私の機材/オリジナル製作品に掲載したQHY268M用手差しフィルタボックス&EFマウントアダプタに載せてある新タイプのマウントと比べるとフランジバックが3.7mm長いです。
しかも、新タイプのマウントはマウント部のプレートをユーザが交換できるので、フランジバックをさらに短くでき、私のオリジナル製作品では12mmに短縮しています。しかし、旧タイプのマウントはマウント部をユーザが交換することができません。
EFマウントのフランジバック44mmを考慮すると、新タイプと旧タイプで、使用可能は残光路長は以下のようになります。
| マウント形式 | カメラのフランジバック | 使用可能な残光路長 | 接続方式 |
|---|---|---|---|
| 新タイプ(標準) | 14.3mm | 29.7mm | M54-メス |
| 新タイプ(改造) | 12mm | 32mm | M54-メス |
| 旧タイプ | 18mm | 26mm | テーパ-オス |
今回の検討において、使用可能な残光路長が26mmしかなく且つテーパ-オス接続であることが苦労したポイントです。
手差しのフィルタボックス(フィルタドロワ―)の選択肢を調べてみました。
| No. | メーカ | 名称 | 光路長(mm) | 接続方式 | 価格(円) | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 鏡筒側 | カメラ側 | |||||
| 1 | ZWO | フィルタードロワー付・EOS-EFマウントアダプター | 26.5 | EFマウント-メス | M42-オス | 18,000 |
| 2 | ZWO | フィルタードロワーM54-Ⅱ | 20 | M54メス M2.5×12 | M54-オス | 14,300 |
| 3 | QHYCCD | Filter Drawer | 19.5 | M3×6 | M3×6 | 6,600 |
| 4 | Askar | M54フィルタードロワー | 18 | M42 or M48 or M54-メス | M42 or M48 or M54-オス | 24,585 |
| 5 | SVBONY | SV226 | 20 | M54-メス | M54-オス | 9,980 |
光路長が最も短いのはNo.4のAskarです。これは光路長が最短という特長の他にも、使えるフィルタの種類が豊富で枠付きの48mm、31.7mmの他に枠無しのφ50mm、φ36mm、φ31mmが選択できるようです。
ただ、これを使用してもEFマウントとカメラとのテーパ接続構造に使用可能な光路長は、26-18=8mmしかありません。いろいろ検討してみましたが、実現不可能と判断しました。
ここで目を付けたのは、No.1です。
これは、EFマウント付きという他のフィルタボックスには無い特徴があり、EFマウント部の厚さを別途気にする必要はありません。ただ、光路長が26.5mmあるため標準のままでは光路長オーバーになってしまいます。
光路長短縮のために着眼したのはカメラ側の接続構造です。
公開されている断面寸法図を確認すると、緑色部品(M42の接続部品)が取り外せそうです。これを取り外して、代わりにQHY268Cとのテーパ接続部品を製作することを考えました。
ただ、上記部品を外せるのか確証がありません。
同製品の販売サイトの写真ではカメラ側が見えるものはありませんでした。
そこでヤフオクやヤフーフリマ、メルカリなどの個人売買サイトを探してみたところカメラ側のM42接続部を写した写真を見つけました。
この写真からカメラ側取付部はキャップスクリューネジ4本で固定されているように思えました。
念のため、同商品を取り扱っているスターベース東京に問合せしたところ、対象部品の取り外しが可能であることを確認して教えてくれました。
フィルタボックスが分解可能とわかりましたので、公開されている断面図より寸法を推定して、QHY268C用のフィルタボックスとして構想しました。
その結果、図に示すように44mmのフランジバックで成り立ちそうと判断しました。
いけそうだとわかったので、製作品の詳細設計をするために、ZWOのフィルタードロワー付・EOS-EFマウントアダプターを購入しました。
商品が届き、さっそく分解してみました。
各部品の寸法をノギスで採寸して、製作する接続環を設計しました。
こちらが製作品「QHY268C-ZWOフィルタドロワ―接続環」の図面です。
図面の下方向にフィルタホルダーを抜き差しします。フィルタホルダーの鍔部との干渉を回避するため72.3mm幅で2mm、面を掘り下げています。
こだわりポイントは、以下の3つです。
いつもお願いしているほしぞら工房で製作してもらいました。
今回は現合合わせが多い複雑な形状でしたが、うまく合うように作ってもらえました。
価格は、25,500円でした。
この写真に写る面は、EFマウント付きのフィルタボックスの取り付け面です。
裏側の写真です。
こちらは、QHY268Cのテーパオスへの取付面です。
フィルタボックスを取り付けしてみました。
現合合わせはばっちり、きちんと取付できました。
フィルタホルダーを外してみました。
鍔部との干渉を逃がす溝がうまく機能し、ひっかりなく脱着できました。
フィルタボックスはネジ4本で締結してあります。
さて、いよいよQHY268Cへの取付です。
カメラのテーパリング部に光路長調整用のシムを挟みます。
シムはミスミのシムリング(CIMRSF-D90-V77.5)を使用しています。このシムリングは外径、内径を0.5mm刻み、厚さも0.05~1mmまであり、0.05mmピッチで厚さ調整が可能で、1枚単位で購入できる優れものです。
バッチリ取付できました。
カメラのテーパ部をアダプタ側面のM4クランピングスクリュー×6本でがっちり固定できます。