QHY268C旧タイプ用EFマウント&手差しフィルタボックス

2026/8/13掲載

星友から、QHY268C(マウント構造が旧タイプ)にフィルタボックスとEFマウントを取り付けできないか相談を受けました。

実現可能か?

最新のQHYYCCDのQHY268Cのマウント構造(新タイプ)はQHY268Mと同じショートフランジバックタイプになっていますが、旧タイプのマウントはテーパ構造で新タイプのようにマウント部を取り外すことができません。

fig1

この図がQHYCCDより公開されていた旧タイプのマウント構造です。
私の機材/オリジナル製作品に掲載したQHY268M用手差しフィルタボックス&EFマウントアダプタに載せてある新タイプのマウントと比べるとフランジバックが3.7mm長いです。

しかも、新タイプのマウントはマウント部のプレートをユーザが交換できるので、フランジバックをさらに短くでき、私のオリジナル製作品では12mmに短縮しています。しかし、旧タイプのマウントはマウント部をユーザが交換することができません。
EFマウントのフランジバック44mmを考慮すると、新タイプと旧タイプで、使用可能は残光路長は以下のようになります。

マウント形式カメラのフランジバック使用可能な残光路長接続方式
新タイプ(標準)14.3mm29.7mmM54-メス
新タイプ(改造)12mm32mmM54-メス
旧タイプ18mm26mmテーパ-オス

今回の検討において、使用可能な残光路長が26mmしかなく且つテーパ-オス接続であることが苦労したポイントです。


手差しのフィルタボックス(フィルタドロワ―)の選択肢を調べてみました。

No.メーカ名称光路長(mm)接続方式価格(円)
鏡筒側カメラ側
1ZWOフィルタードロワー付・EOS-EFマウントアダプター26.5EFマウント-メスM42-オス18,000
2ZWOフィルタードロワーM54-Ⅱ20M54メス
M2.5×12
M54-オス14,300
3QHYCCDFilter Drawer19.5M3×6M3×66,600
4AskarM54フィルタードロワー18M42 or M48 or M54-メスM42 or M48 or M54-オス24,585
5SVBONYSV22620M54-メスM54-オス9,980

光路長が最も短いのはNo.4のAskarです。これは光路長が最短という特長の他にも、使えるフィルタの種類が豊富で枠付きの48mm、31.7mmの他に枠無しのφ50mm、φ36mm、φ31mmが選択できるようです。
ただ、これを使用してもEFマウントとカメラとのテーパ接続構造に使用可能な光路長は、26-18=8mmしかありません。いろいろ検討してみましたが、実現不可能と判断しました。


fig2

ここで目を付けたのは、No.1です。
これは、EFマウント付きという他のフィルタボックスには無い特徴があり、EFマウント部の厚さを別途気にする必要はありません。ただ、光路長が26.5mmあるため標準のままでは光路長オーバーになってしまいます。

光路長短縮のために着眼したのはカメラ側の接続構造です。
公開されている断面寸法図を確認すると、緑色部品(M42の接続部品)が取り外せそうです。これを取り外して、代わりにQHY268Cとのテーパ接続部品を製作することを考えました。


fig3

ただ、上記部品を外せるのか確証がありません。
同製品の販売サイトの写真ではカメラ側が見えるものはありませんでした。

そこでヤフオクやヤフーフリマ、メルカリなどの個人売買サイトを探してみたところカメラ側のM42接続部を写した写真を見つけました。
この写真からカメラ側取付部はキャップスクリューネジ4本で固定されているように思えました。

念のため、同商品を取り扱っているスターベース東京に問合せしたところ、対象部品の取り外しが可能であることを確認して教えてくれました。


QHY268C旧タイプマウント用 EFマウントフィルタボックス構想

fig4

フィルタボックスが分解可能とわかりましたので、公開されている断面図より寸法を推定して、QHY268C用のフィルタボックスとして構想しました。
その結果、図に示すように44mmのフランジバックで成り立ちそうと判断しました。


ZWO フィルタードロワー付・EOS-EFマウントアダプターの購入

fig5

いけそうだとわかったので、製作品の詳細設計をするために、ZWOのフィルタードロワー付・EOS-EFマウントアダプターを購入しました。

商品が届き、さっそく分解してみました。
各部品の寸法をノギスで採寸して、製作する接続環を設計しました。


製作品「QHY268C-ZWOフィルタドロワ―接続環」の図面

fig6

こちらが製作品「QHY268C-ZWOフィルタドロワ―接続環」の図面です。

図面の下方向にフィルタホルダーを抜き差しします。フィルタホルダーの鍔部との干渉を回避するため72.3mm幅で2mm、面を掘り下げています。
こだわりポイントは、以下の3つです。

  1. QHY268Cのオステーパとの結合にはミスミのM4クランピングスクリュー(ボールタイプ)を使用する。
  2. 上記M4ネジ穴は外周6か所とし、結合時の剛性が上がるようにした。
  3. M3イモネジ(6か所)を使用したスケアリング調整機構を設けた。
    詳細な光路長は、スケアリング調整機構とカメラとの間にシムリングを挟むことで調整する。

完成した製作品と組立状態

fig7

いつもお願いしているほしぞら工房で製作してもらいました。
今回は現合合わせが多い複雑な形状でしたが、うまく合うように作ってもらえました。
価格は、25,500円でした。

この写真に写る面は、EFマウント付きのフィルタボックスの取り付け面です。


fig8

裏側の写真です。
こちらは、QHY268Cのテーパオスへの取付面です。


fig9

フィルタボックスを取り付けしてみました。
現合合わせはばっちり、きちんと取付できました。


fig10

フィルタホルダーを外してみました。
鍔部との干渉を逃がす溝がうまく機能し、ひっかりなく脱着できました。


fig11

フィルタボックスはネジ4本で締結してあります。


fig12

さて、いよいよQHY268Cへの取付です。


fig13

カメラのテーパリング部に光路長調整用のシムを挟みます。
シムはミスミのシムリング(CIMRSF-D90-V77.5)を使用しています。このシムリングは外径、内径を0.5mm刻み、厚さも0.05~1mmまであり、0.05mmピッチで厚さ調整が可能で、1枚単位で購入できる優れものです。


fig14

バッチリ取付できました。


fig15

カメラのテーパ部をアダプタ側面のM4クランピングスクリュー×6本でがっちり固定できます。



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