QHYCCD QHY268M 特性値計測結果
2022/7/24掲載
はじめに
効率良くSN比を向上する撮影条件の選択に必要な、カメラの特性値計測結果を公開します。
これらは、私の所有するカメラでの実測結果です。メーカの公称値ではありません。
QHYCCD社のホームページで公開されている値とは異なる部分があることを認識しておりますが、私のカメラではこちらの値になりました。
カメラ毎の個体差はあり得ますので、参考値としてご覧ください。
補足
- 変換係数G値(単位;counts/e-)の逆数、1/G値(単位:e-/counts)は、コンバージョンファクター(Conversion Factor)やSystemGain(QHYCCD)、EGAIN(ZWO)とも呼称されます。
- 単位:countsは、画像の各ピクセルのカウント値を示します。e-/countsとe-/ADUは同じ意味になります。
1/G値
読み出しノイズ
FULLWELL
FULLWELLと読み出しノイズの関係
横軸をFULLWELL、縦軸を読み出しノイズにしたグラフに書き換えてみるとこのようになります。
読み出しノイズが階段状に低下しています。同程度の読み出しノイズであれば、最も大きいFULLWELLとなる設定を選択するのが良いと考えられますので、
赤丸の4箇所の設定から選ぶ形が良いと思います。
暗電流
特性値一覧表
HighGainMode
ゲイン設定値 | OFFSET | 1/G値 (e-/counts) | 読み出しノイズ (e-) | FULLWELL (e-) |
0 | 10 | 0.758 | 3.59 | 49577 |
10 | 10 | 0.698 | 3.60 | 45622 |
20 | 15 | 0.611 | 3.54 | 39908 |
30 | 15 | 0.549 | 3.61 | 35830 |
40 | 15 | 0.456 | 3.42 | 29771 |
50 | 20 | 0.390 | 3.34 | 25436 |
55 | 20 | 0.350 | 3.32 | 22835 |
60 | 15 | 0.297 | 1.62 | 19419 |
65 | 15 | 0.262 | 1.63 | 17135 |
70 | 20 | 0.226 | 1.61 | 14730 |
80 | 20 | 0.151 | 1.54 | 9827 |
90 | 25 | 0.081 | 1.48 | 5274 |
95 | 35 | 0.044 | 1.45 | 2876 |
素子温度:0℃で計測(素子温度は結果に影響しません)
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PhotoGraphicMode
ゲイン設定値 | OFFSET | 1/G値 (e-/counts) | 読み出しノイズ (e-) | FULLWELL (e-) |
0 | 10 | 1.273 | 7.74 | 73839 |
5 | 10 | 1.115 | 7.65 | 72174 |
10 | 10 | 0.972 | 7.56 | 63567 |
15 | 10 | 0.812 | 7.24 | 53104 |
20 | 10 | 0.675 | 7.26 | 44137 |
25 | 15 | 0.514 | 7.01 | 33532 |
30 | 10 | 0.371 | 2.73 | 24231 |
40 | 15 | 0.264 | 2.54 | 17244 |
50 | 20 | 0.170 | 2.52 | 11122 |
55 | 25 | 0.119 | 2.41 | 7782 |
60 | 25 | 0.072 | 2.31 | 4691 |
65 | 50 | 0.024 | 2.00 | 1532 |
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| 設定値 | | 計測&分析値 |
お勧めの設定値 |
| FULLWELL重視 | | 読み出しノイズ重視 |
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暗電流
素子温度 (℃) | 暗電流(e-/sec) |
-15 | 0.00086 |
-10 | 0.00146 |
-4.9 | 0.00234 |
0 | 0.00396 |
5 | 0.00669 |
10 | 0.0122 |
HighGainMode、ゲイン設定値:60、OFFSET:15で計測(暗電流にゲイン設定値、OFFSETは影響しません)
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所感
このカメラは4つの読み出しモードが用意されていますが、DSOの撮影用には、CMOSカメラの低読み出しノイズの特性が得られるという観点で「HighGainMode」か「PhotoGraphicMode」のどちらかの選択が良いと思います。
FULLWELLと読み出しノイズの関係でご説明したように、低読み出しノイズを重視したい時はHighGainModeのゲイン設定値:60か、PhotoGraphicModeのゲイン設定値:30を、
FULLWELLを重視したい時は、PhotoGraphicModeのゲイン設定値:0か、HighGainModeのゲイン設定値:0を選択するのが良いと思います。
撮影環境(夜空)がより暗いほど、一般には低読み出しノイズの選択を選ぶことが適正と言えます。
別途ご紹介予定のSN比を効率良く向上できる撮影条件を考慮してゲイン設定値を決めるのが良いと思います。
データシート
掲載データをエクセルファイル(97-2003ブック形式)でダウンロードできます。
ご希望の方は、以下のリンクをご利用下さい。
220501_QHY268M特性r2_公開用

