主鏡のセル分解(MT-200)
〜中心穴の活用〜

2022/8/24掲載

タカハシ MT-200の主鏡をセルから取り外す作業の紹介です。

ニュートン鏡筒はたいてい(タカハシのものは全て)、 主鏡セル裏中心に穴 があります。この穴を利用することで、主鏡をすんなりとセルから外すことができるのです。
「そんなの常識!」なんて言わないで 下さい。私はニュートンと付き合って30年超、この方法を思いつかず、もっと危険な方法で取り外していました。

1.鏡筒からセルを取り外す

fig1

ニュートン鏡筒の底の部分、これがセルです。

セルの真ん中の黒い部分、ここがセルの穴です。タカハシのMTシリーズではここに黒いゴムが見えています。
εシリーズでは、蓋がねじ止めされているものもありますが、蓋を外すと穴に対面できます。


fig2

ジャムの瓶を持ってきて、セルの穴に当てがってみました。
「うむ、ベストサイズ!」
穴より、ちょっと小さい外径&この程度の厚さ(高さ)の円筒物がちょうど良いです。


fig3

それではセルを外してみましょう。
セルの引きネジ(MT-200の場合は、このネジです)を取り外します。
タカハシのニュートン鏡筒の引きネジには幅広のマイナス溝が切られており、水栓ドライバーがベストフィットします。
私が使用しているものは、水栓ドライバー SK-11です。


fig4

引きネジ3本を全て外しました。
この後、主鏡セルに残った押しねじを掴んで、ゆっくりと引き出すと鏡筒からセルを取り外すことができます。


fig5

こちらが取り外した主鏡セルです。
MT-160以下では、ミラー押さえが3箇所ですが、MT-200では6箇所あり、鏡を均等に抑える工夫がされています。

でもここまで押さえを増やすなら、爪マスクになる(=爪がない)リング形状の押さえ金具にして欲しいですね。1980年頃の当時は主鏡爪マスクなんて考えは一般的ではなかった(私は知らなかった)です。


2.主鏡押さえを取り外す

fig6

主鏡周辺を上から押さえている6箇所のネジ全て(合計12本)を取り外します。


fig7

押さえ爪とその下にある押さえゴムを取り外します。
この写真で右側にあるのが押さえ爪(裏返しになっています)、左側が押さえゴムです。


fig8

6箇所全ての押さえ爪とゴムを取り外します。


3.主鏡側面押さえネジを緩める

fig9

主鏡の押さえ機構はまだ残っています。

主鏡の側面方向6箇所から主鏡を押さえているネジがあります。細めのマイナスドライバーを使って緩めます(少し緩めるだけでOKです)。

【補足』ネジで表面にゴムがついたメタルプレートを押して、主鏡の側面を押さえる構造です。


4.主鏡を取り外す

fig10

いよいよ佳境です。
最初の方で、セル穴にジャストサイズであった「ジャム瓶」を主鏡セル横に置きます。
この時にジャム瓶周辺のものは約15cm以上離して置きます(この写真は離す作業を行なう前です。散乱している爪やゴム、ネジをジャム瓶より離します)。


fig11

このようにセル穴をジャム瓶にあてがうようにして


fig12

セルをゆっくり下げていくと・・・

あら不思議!
主鏡がせりあがっていきます。


fig13

ジャジャーン!

セルから主鏡が見事に外れました。


fig14

主鏡の鏡面を傷つける心配なく、主要を取り外すことができます。
主鏡側面についている金具は、側面からの押さえ金具です。ゴムが張り付いているだけなので、金具を指でつまんでやれば簡単に外れます。


fig15

上にあるのが主鏡セル。真ん中にジャム瓶が置いてありますよね。
左が主鏡、右が主鏡裏にあるゴムシートです。



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