EM-200TEMMA2Mは、2015年秋に今は無きスターベース名古屋で購入し、ずっとノントラブルで使用しています。
使用後9年3ヶ月経った昨晩(2025/1/25)の遠征で、自動導入ができなくなる不具合に見舞われました。
今回の撮影対象はこれらです。
先にMT-200の設置を終えてNGC2857の撮影を開始した後に、ε-180EDの設置を開始しました。
実はこの時に「大丈夫かな?」という不安が頭をよぎったのですが、この後その不安が現実になりました。
ε-180EDとEM-200T2Mを設置しプレートソルブで鏡筒の方向を同期した後、レグルスを自動導入してピント合わせとカメラの位相合わせを行ないました。ここまでは順調です。
次に予定していた撮影対象のM91を自動導入してみると…、不安が的中しました。
MT-200の鏡筒にε-180EDの撮影対象がピッタリ隠されてしまいました。
私の撮影スタイルは1対象/1晩でTWで撮影を開始します。そのため、南中時刻が遅い対象を撮影する機材の方を東側に設置するのがセオリーなのですが、今回設置位置のセオリーを守らなかった結果の失敗です。
ただ、1時間くらい経てば干渉を避けられそうなので、一旦別対象をテスト的に撮影してみることにしました。
テスト撮影の対象をM97に決めNINAから自動導入を開始しました。
タカハシ特有の甲高いモータ音が鳴り始め700倍速で導入が始まり、赤経モータはすぐに指定位置まで駆動を終えたのですが赤緯モータは止まる気配がありません。対象を大きく行き過ぎても止まらず衝突の危機。一旦、粗動クランプを緩めて衝突を回避し、パソコンからステラナビゲータにて「停止」ボタンを押しました(NINAから導入開始してもステラナビゲータで止められることを知りました)。
さて、落ち着いてステラナビゲータで見てみると赤経モータを駆動した場合は鏡筒の方向を示す赤十字が動くものの、赤緯モータを駆動しても鏡筒が向きを変えるものの画面の赤十字はピクリとも動かない。
赤緯エンコーダの軸に触ってみると、指でするする回ります。止めネジがゆるんだのだと思って暗闇の中細い六角レンチで止めネジを回そうとするも締まっているようです???
暗闇の中ではこれ以上は無理とあきらめてEM200は片づけました。
翌日に落ち着いて赤道儀の状態を確認してみました。
エンコーダから伸びる銀色の円筒には止めネジ用と思われる穴があります。この穴に六角レンチを差し込んでみると止めネジがありましたが、残念ながらきちんと締まっていました。
念のため、一旦ネジを緩め、再度締め直してみましたが
動画に示すように、円筒部が自由に回り固定されていません。
あきらめてスターベースに問合せようと思ったのですが、星友からメッセージが入りました。
「ウォーム側の止めネジを確認してみて!」
やってみると確かにこの穴の奥にあった止めネジが緩んでいました。
なるほど、このパーツはエンコーダの軸とウォームの軸を連結するパーツなら両方に止めネジがあるはずですね。
持つべきものは星友です。
ただ、星友の説明によるとウォーム側はD溝になっているとのことです。そこで止めネジの位置をD溝に合わせるため、エンコーダを外してみることにしました。、
エンコーダを外してみました。
エンコーダは赤道儀のコントロールボックスの上面にネジ2本で止まっていましたので、それらのネジを外して、エンコーダの軸またはウォームの軸と固定する止めネジを緩めて軸方向に引き抜くとエンコーダを外すことができました。
外してみるとウォームのD溝はこの写真の向きで、止めネジはこの写真でいうと右方向から締める形になりますので、位相がずれていました。
ウォームをハンドコントローラを使って回転して、位相合わせをし、これら外した部品類を元に戻しました。
作業としては、エンコーダを赤道儀のコントローラ上面に取り付ける小さいネジをネジ穴に合わせる作業に大変苦労しました(10分以上かかったと思います)。
参考にエンコーダとウォームをつなぐパーツの写真です。
この部品、もっと肉薄でも良いように思いますが剛性を落とさないためなのか、しっかりした削りだし部品でした。
こういう作りがタカハシの好きなところの一つです。
さて、動作確認をしてみました。
エンコーダとウォームをつなぐ銀色部品を見て下さい。
ハンドコントローラで赤緯モータを動かしていますが、それに合わせて銀色パーツが回転しているのがわかると思います。
これで修理完了、工場送りにすることなく治すことが出来て良かったです。
今回、この不具合を自身のFacebookページに投稿したところ、多くの方から止めネジがゆるんでいるのでは?とのコメントをもらいました。どうやらこのネジがゆるんでしまうのはこの赤道儀の弱点のようですね。
このネジがゆるむとエンコーダがウォームの回転を拾えなくなり、その結果、PCからの赤道儀制御において向きが変わっていないと誤認されるようです。
私の場合は目の前での運用でしたので手動で粗動クランプを外して鏡筒と三脚の接触を防ぐことができましたが、子午線越えの自動反転や遠隔リモート制御の場合には確実に鏡筒が早送りで接触します。この赤道儀における要注意の不具合モードですね。