惑星直列
〜ステラナビゲータでの分析〜

2022/6/25掲載

2022年6月現在、明け方の東の空に太陽系の全惑星(水星〜海王星の7惑星)(と日によるけど月も)が並ぶ様子が見られ、話題になっています。
Googleの検索ワードランキングでも6月頭より「惑星直列」が急増しています。

fig0

惑星直列というと太陽〜海王星までの 惑星が一直線に並んだ様子 を思い浮かべますが、実際の惑星直列とはどういうものなのか、ステラナビゲータで確認してみました。

2022年6月の様子

fig1

(c)アストロアーツ
昨日(2022年6月24日)、このような月も交えた美しい様子が見られたはずです。

fig2

(c)アストロアーツ
さて、実際に惑星はどのように並んでいるのか? 気になりますよね〜
ステラナビゲータでは、太陽系を俯瞰してみることができます。
お持ちの方は、「表示形式」→「太陽系」を選んでみましょう。

fig3

(c)アストロアーツ
”ん!”思ったより広がってるのね
思いました?
どれくらい広がっているのか、真上から見てみましょう。

fig4

(c)アストロアーツ
まぁまぁ集まっているような、広がっているような…、微妙な感じです。
これって、どれくらいの角度なの?
疑問に思ったら調べてみましょう。
PowerPointに画像を貼り付けて、直線オブジェクトを書いて角度を測ってみました。計測分解能は1°刻み、見た目で合わせているのでおよその分析です。

fig5

(c)アストロアーツ
黄色が太陽基準での角度計測結果、ピンクが地球基準での結果です。
太陽基準では、地球〜天王星(これで全惑星)が一番開いていて132°でした。
やはり結構開いています。
ただ、地球基準で見てみると土星〜水星までが最大開き角度で、106°です。そこそこ狭まりました。我々が見るという視点にたてば、まぁまぁでしょうか。
今回は惑星直列ではないのですが、惑星直列と呼ばれていた時はどうだったのか?見てみましょう。

1982年3月10日の惑星直列

当時は小学4年生、天文に興味を持ち始める直前です。
惑星直列があったということは良く覚えていて、惑星同士の引力の相互作用で天変地異が起こるというニュースにドキドキしましたが、実際には何も起こりませんでした。
で、実際の並びはどうであったかというと・・・

fig6

(c)アストロアーツ
これのどこが直列なの?

fig7

(c)アストロアーツ
真上から見てみても、まったく直列ではありません。

fig8

(c)アストロアーツ
角度は地球〜水星または海王星が最も開いていて、その角度は、96°でした。 参考までに、地球から見た角度では今回よりも開いていて、128°もあります。
惑星直列(wikipedia)といっても、実際に一直線のことを言うのではなく、太陽基準の開き角が90度以下の場合を惑星直列と呼ぶようです。
なんともがっかりです。
水星〜海王星までの全8惑星が5°以内のほぼ一直線に並ぶことは過去10万年から未来10万年の期間でもないと、Wikipediaには書かれています。

小学生の時に惑星直列!と胸躍らせた1982年の惑星直列は、実は90°以内に入るという惑星直列の定義も満たしていない現象だったとは…

fig9

(c)アストロアーツ
だた、この日の地球から見た様子は、結構綺麗です。
でも、惑星直列に近い様子を見てみたい。

調べました。

1128年の4月〜5月頃に開き角が、39°の惑星直列が見られたようです。

行ってみましょうステラナビゲータで約900年前へ

1128年の惑星直列

fig10

(c)アストロアーツ
おっ!結構、近い!惑星がぎゅ〜っと集まっている感はあります。

fig11

(c)アストロアーツ
39°の開き角になった正確な日時がわかりませんでしたで、ステラナビゲータで一日づつ日を変えては計測を繰り返した結果、
1128年4月11日の1時30分頃39°に集まっていたことがわかりました。

fig12

(c)アストロアーツ
この日、太陽基準で、水星または天王星から地球の間の開き角が39°となっています。
狭い!
1982年の惑星直列とは比べものになりません。
ただ、地球基準で見てみると、水星から木星までがもっとも広い開き角となって、159°もありました。
まぁ、内惑星から外惑星までが並ぶわけですから、当たり前ですよね。
では、この日の地球から見た様子をお見せします。

fig13

(c)アストロアーツ
ここは1128年4月11日、午前2時31分、北緯70度54分、東経134度15分北極海を望むロシアの北端あたりです。
実は日本からは内惑星の金星と水星を外惑星と同時に見ることができず、大きく北へ移動してみました。
綺麗ですね〜。全惑星にちょうど上弦をむかえた月が華を添えてくれています。

もっと並んだ様子がみたい

約900年の時間の旅をして、非常に狭い開き角の惑星直列を見てきたわけですが、やはり、見たい。
もっと、直線状に並んだ惑星を…
調べました。
全惑星というのはあきらめて、水星から土星までの6惑星なら、ありました。

1503年12月14日、6惑星の直列

fig14

(c)アストロアーツ
どうです?まぁまぁ直線ですね。
以上でお別れです。さようなら〜

お断り
実際の惑星の配置は3次元ですので、平面上で行なった今回の検証はかなり不正確な可能性があります。


to astro

to HOME