散在銀河Arp1と相互作用銀河Arp285

天文ガイド2025年5月号に入選
おおぐま座/系外銀河

Arp1_Arp285
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写真データ

撮影日,撮影時間,月齢,撮影地:

~QHY268M~
2024/12/28, 23h57m55s~ 27.36@23:57,兵庫県姫路市-自宅(IR640:600sec×12)
2024/12/29, 21h35m22s~ 28.27@21:35,兵庫県姫路市-自宅(IR640:600sec×36)
2025/1/1, 20h33m28s~ 1.55@20:33,兵庫県姫路市-自宅(IR640:600sec×48)
2025/1/2, 20h36m03s~ 2.56@20:36,兵庫県姫路市-自宅(IR640:600sec×55)
2025/1/3, 20h47m31s~ 3.56@20:47,兵庫県姫路市-自宅(IR640:600sec×36)
2025/1/4, 2h14m32s~ 3.79@2:14,兵庫県姫路市-自宅(UV/IRcut:300sec×41)

~QHY268C~
2025/1/15, 22h54m56s~ 25.64@22:54,岡山県備前市-八塔寺(UV/IR-cut:300sec×64)

露出時間: QHY268M UVIRcut:300sec×41
QHY268M IR640:600sec×177
→合計:32h55m00s
QHY268C UVIRcut:300sec×64
→合計:5h20m00s
[総露出時間:38h15m00s]
Mode, Gain, Offset
(QHY268M,C):
HighGain, 60, 15(QHY268M, QHY268C同じ)
機材: タカハシNJP(NS-5000)
タカハシMT-200(1,200mm F6),バーダーMPCC-MARKⅢ
QHYCCD QHY268M,バーダーUVIRcut,SIGHTRON IR640PRO,NINA使用(素子温度:-10℃)
QHYCCD QHY268C,バーダーUVIRcut,NINA使用(素子温度:-10℃)
オフアキシス+QHY5Ⅲ174M+PHD2
撮影地: 岡山県備前市吉永町(八塔寺), 兵庫県姫路市
その他: PixInsight,PhotoShop,BlurXT,NoiseXT
コメント:

今年の年末年始は、新月期且つ晴れの日が続くという好条件でした。ただ、家の都合で遠征できなかったので、自宅前からIRパスフィルタで銀河を狙ってみました。露光時間は数字上かせげたのですが、光害地ではS/Nが露光時間の長さに見合うほど向上しないですね。
それでも撮影時間38hr超の効果で、Arp285のNGC2856(真ん中の銀河)およびNGC2854からNGC2856に伸びる恒星ストリームを表現することができました。
撮影対象ですが、上の綺麗な渦巻銀河がArp1(NGC2857)、中央の銀河(NGC2856)と右下の銀河(NGC2854)のペアがArp285です。
Arp1はなんだかぼんやりした様子に見えますが、これは低表面輝度銀河と呼ばれ銀河群に属さない散在銀河、一方でArp285は恒星ストリームがつながっている様子からも相互作用銀河であることがわかります。地球からは仲の良いトリオのように見えるのですが、実は仲がいいのはArp285のペアだけで、Arp1はそのペアを横目で独りさびしく眺める存在という面白いトリオだなと考えながら撮影していました。
地球からの距離ですが、NGC2857は約2億4300万光年、NGC2856とNGC2854は約1億3700万光年という情報が見つかりました。

APS-Cサイズのセンサと1,200mmの焦点距離を組合せで撮影していますが、注目のトリオをクローズアップするため3,500mm相当にクロップしています。

天文ガイド2025年5月号入選(2025/4/5追記)

fig1

先月に続き、天文ガイドに掲載していただきました。
天文ガイドはFujisanにて年間購読しています。昔は発売日の少し前に誌面が届くことがほとんどだったのですが、最近は発売日当日またはそれ以降になることが増えてきて若干不満気味です。ただ、Fujisanでの年間購読を続けているのは発売日当日の午前0時から閲覧できる電子版が無料でついてくる特典が大変魅力的だからです。
今回も発売日4/4の0時過ぎ、就寝前にスマホから天文ガイドの最新号2025年5月号を開きました。木曜の深夜でしたので明日も仕事であるため、あまりゆっくり見ていられません。目次ページより「読者の天体写真」コーナーへ飛びました。
ここからは、マイルールとして1作品目より順に見ていくことにしています。最初は星景写真、「なんだか日本的じゃない風景、どこ?あっモルディブね」とか、「おっ、今月の最優秀は迷人会のTさんか」とか思いながらページを進めていき、いよいよ系外銀河コーナに到達、その1ページ目で「あった」
雑誌投稿した時にページをめくるドキドキ感、いつまでたっても変わらないこの感覚いいですね。ただ、その後もいいのはもちろん入選した時だけですけど。

さて、編集部の評はArp285のタイダルストリームを捉えていることが書かれていました。自分がこだわった部分に着眼してもらえるとうれしいですね。
今回Nさんの「NGC4145&4151、Iさん(というかKさんか)のNGC1569と並んで掲載してもらいました。これら3作品に勝手に共通点を見つけました。それは、「ニュートン鏡筒」「口径は20cm(級)」「スパイクがクロス」という3点です。
もう1つ、Nさんは遠征撮影、Kさんはご自宅からの撮影、私は自宅と遠征のハイブリッド撮影というなんだか偶然のバランス感だなと思いました。


【タイダルストリームについて】
天文ガイドではタイダルストリーム(tidal stream)という用語はたまに見かけますが、ネット上ではあまり見かけたことがありません。
単にタイダルストリームでGoogle先生に聞くとフィッシングカヤックのブランドが多数ヒットします。「タイダルストリーム 銀河」で検索してようやく目的のものがポツポツヒットする感じ。
さて、本論へ戻して
私は恒星ストリーム(stellar stream)と同意と思っていたのですが、ChatGPTに聞いてみました。

私: 銀河のタイダルストリームとは何ですか?
ChatGPT: 銀河のタイダルストリーム(tidal stream、潮汐流)とは、銀河の重力的な相互作用によって引き伸ばされてできる、星の帯状の構造のことです。簡単に言えば、小さな銀河や星団が大きな銀河(たとえば私たちの天の川銀河)に引き寄せられ、その過程で引き裂かれてできる「星の流れ」です。
私: 恒星ストリームと同じものですか?
ChatGPT: 「恒星ストリーム(stellar stream)」と「タイダルストリーム(tidal stream)」は、ほぼ同じ意味で使われることが多いです。ただし、ニュアンスや文脈によって、少しだけ使い分けされることがあります。あえて区別すると、タイダルストリームは「潮汐力によってできた構造全般。星以外のガスや暗黒物質を含むことも。より物理的プロセスに焦点を当てた用語」、恒星ストリームは「実際に観測される恒星の流れにフォーカス。観測的な現象を強調した用語。つまり「見えてる部分」。」
私: どちらの方が使用例が多いですか?
ChatGPT: 恒星ストリームは、特に観測やレビュー記事で使用頻度がやや多い(観測論文、レビュー論文、プレスリリース、一般向けの説明など)、タイダルストリームは、やや少ないが専門的な文脈では頻繁(銀河進化、潮汐相互作用の理論研究、シミュレーション論文など)

ということらしい。
ChatGPTの回答なので真偽検証は必要ですが、一旦満足しました。

クロップ前のフル画角画像

Arp273-full

f=1,200mm, APS-Cで撮影したフル画像です。
元画像ではこのように縦画角でした。


2,400mm相当画角にクロップ画像

Arp273-full

f=2,400mm相当の画角にクロップして見ると、画角の左(東)側にたくさんの小さい銀河が見えて楽しい画角だなと思いました。


撮影時の記録

2024/12/28クA群9

この作品は銀河のバラArp273の撮影最終日、2024/12/28に撮影を始めました。


2024/12/29クA軍0

2024/12/29、年末年始のお休みは連日の晴れで、この日も自宅前で撮影しました。


2025/1/25クA群6

撮影最終日、カラーデータを得るために八塔寺に遠征して撮影しました。



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