MT-200接眼部回転軸の光軸調整リング
〜オリジナル製作品〜

2021/4/17完成 2023/1/9掲載


MT-200をはじめタカハシのニュートン鏡筒には接眼部回転機構が設けられているものが多いですが、その回転軸と接眼部取付面の直交がズレている場合があります。
私のMT-200もわずかにズレていて、オートコリメータで光軸をしっかり合わせても接眼部回転機構を回転させると、合わせたあったセンターマーク反射像がズレてしまいました。
このズレを修正する調整リングを設計・製作しました。

接眼部取付面の直交とは?

fig1

MT-200の接眼部の写真です。
回転部と示す部分が固定側に対して回転するのですが、この回転軸と接眼部取付面の直交が少しズレているようです。
この部分には調整機構はなく、加工精度およびドローチューブ(接眼部)と回転部の間の取付誤差によって直交がズレるのだと思われます。


製作した調整リング

fig2

これが製作した調整リングです。2つのリングを組合せて使います。
左側のリング(調整リングベース)が接眼部に取り付けるリングで、裏面にM60のオスネジが切ってあります。
右側のリング(調整リングトップ)はアイピースやカメラなどのアダプタを取り付けるリングで、傾き調整用のネジ穴(6箇所)が切ってあり、6箇所の通し穴を使ってベースリングと接続する構造です。また中央にはM60のメスネジが切ってあります。


fig3

これが組立済の状態です。
6本の六角穴付きボルトで二つのリングを締結しており、両者のリングの傾きを6箇所のイモネジによる押し引き機構で調整できます。


fig4

こちらが裏面の写真です。
M60のオスネジがあり、これをつかってドローチューブへねじ込み接続します。


鏡筒(MT-200)への取付

fig5

調整リングをMT-200の接眼部へ取り付けた状態です。


fig6

真横から見るとこういう感じです。
調整リングベースが3mm厚さ、トップが5mm厚さで合計8mmです。
光路長をできだけ伸ばさないよう薄く設計しました。


fig7

20mmの延長リングを付けて、その先に純正の接眼アダプタを取付します。
写真は光軸調整のオートコリメータを取り付けた状態です。


図面と反省点

設計した図面を公開します。
製作は、いつもお世話になっているコスモ工房へ依頼しました。

fig8

押しネジは引きネジ3箇所に対してのみ設けましたが、残りの3箇所の引きネジ部にも設けた方が良かったです。
というのも押しネジがない部分の引きネジを締めるとプレートが撓んでしまう問題が生じました。
また、Φ64の凸部については、コスモ工房より「リピートの際には1mm以上の高さが欲しい」と言われています。

調整リングトップ
↑こちらをクリックするとPDF形式の図面をダウンロードできます。


fig9

光路長をできるだけ短くするために厚さを3mmにおさえましたが、薄すぎましたトッププレートと引きネジで締結した際に歪みが生じ、ドローチューブから外せなくなってしまいます。
5mm以上、できたら7mmくらいの厚さにした方が良いと思います。
またΦ64の凹部についても、コスモ工房より「リピートの際には1mm以上の高さが欲しい」と言われています。

調整リングベース
↑こちらをクリックするとPDF形式の図面をダウンロードできます。



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