タカハシNJPは頑丈で精度の良い赤道儀ですが、観測小屋などへ常置して使用することを前提とした設計で、移動して使うには、残念な点が2つあります。
特に2.水平微動範囲が狭いことは、かなり重大な問題です。機材をある程度組み上げた後で三脚を動かす必要が生じたことが、過去に何度もあります。組んだ機材をばらしたくなくて三脚の足を持ち上げて向きを変えたことが何度もあります(かなり危ないです。マネしないでください)。
これら2つの問題を同時に解決するのが、今回製作した『NJP用回転ベース』です。
同等のアイデア品は2つほど知っておりますが、そこそこいいお値段です。少しでも節約できないものかと自分で作図して、ストレートシャフトベースの製作でお世話になったテクニカルワークさんへ依頼して製作してもらいました。値段はあまり抑えられませんでしたが自分のこだわり設計のものを作ることができたので満足しています。
NJP回転ベース-上側
↑こちらをクリックするとPDF形式の図面をダウンロードできます。
NJP回転ベース-下側
↑こちらをクリックするとPDF形式の図面をダウンロードできます。
2019/1/23に注文して、本日2/23に引き取ってきました。
代金は\29,000です。
うむ、なかなか良い出来栄えです。
テクニカルワークさんではアルマイトを頼めないことと、赤道儀の腰下パーツなので重量は利点であると考えて、アルミではなくSUS303で製作しました。
テーパの仕上がり具合もよさそうです。
こちらはテーパ部の締め付けに使うクランピングボルトと手回し用ノブ、ミスミで購入しました。
クランピングボルトは、ファインダーのアリガタやEM-200の赤緯テーパ部でも使用しておりますが、先端に鋼球が付けてあって、滑らかで強固な締結ができる優れものです。
2022/8/21追記
クランピングボルトは使い勝手が良いのですが、圧入ノブについては外径が小さく、丸い形状であることが影響して締め込み不足感がありました。
2022/8/21追記
現在使用しているのは、こちらの圧入ノブです。
最初のものと比べると外径が大きく、外径形状が菊型になっているため力が入りやすく手だけでしっかり締めることができて便利です。
商品名は「サムノブ 菊型」です。ネット通販で購入できます。
購入先例⇒
モノタロウ
クランピングボルトを取り付けて、上下部品を組み合わせると、こんな感じ
これがクランピングボルトの心臓部、先端の鋼球です。
横から見ると、こんな感じです。
今回、三脚と赤道儀の間部の総厚さを極力薄する設計にしてみました。
下部品が25mm、上部品は凸部を除いて8mm、合計33mmです。
さて体重計で測ると
上部品(赤道儀に取り付ける方)は1.8kg
上下合わせて3.5kgです。
まず三脚へ
NJP用の三脚はこのようにM10ねじ3本で締め付ける構造です。
回転ベースの下部品を取り付けました。
上部品を載せてみました。
干渉はなく、私の設計に問題なさそうです。
次は、上部品を赤道儀へ取り付け。
今回、mm単位で厚さを追い込んだ設計をしましたので、標準長さのネジ(25mm)ではこのように1mmほど出っ張ります。
ネジ頭をハンドグラインダーで削ってこのようになりました。
赤道儀への取り付け完了。
いよいよ赤道儀を三脚へ
しっくりはまりました。
NJPの水平微動はこの程度の調整幅しかありません。
この回転ベースにより、大きく水平方向に動かせるので、もう二度と北極星導入で三脚を動かしなおす必要はないでしょう。
赤道儀全体はこんな感じ。
クランピングボルトの跡はこのように丸いへこみがつきました。
まぁ仕方ないですね。
さて、赤道儀ケースへの収納です。
予想通り、クッション部に製作した上部品が干渉します。
クッション部へ印をつけて、カッターで切断。
広げました。
無事、ケースへ収納完了。
備品類もおさまりました。