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■2008年06月18日(水)00:50  職務質問inアキバを法律的にみる。
職務質問→十徳ナイフ所持刃渡り5cm→警察官10人以上集まる


刑事訴訟法の問題として出したら、もっともオーソドックスな問題になりそうな事例ですね。法学部生なら、論点とか分かるでしょう。職務質問、所持品検査の適法性が問題となる事例ってわけですね。


あまり会いたくないことですが、もし職務質問にあったら?所持品見せろって言われたら?応じる義務があるのか。また、上の記事みたいに警官に突き飛ばされたり捕まれたり、いきなりバックあけられたりしたらどうするのか。
そのへんのところを、法律的にわかりやすくみてみようかと。



職務質問、所持品検査の根拠規定は警察官職務執行法(警職法)2条1項。
「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。」




職務質問は、上の条文によると「挙動不審とか犯罪を犯そうと疑うに足りる相当な理由(不審事由)」がなければいけません。

他人の家の前でうろちょろしてるとか、まぁ、普通の人が見て不審だっていう場合と、警官が、近くであった事件の容疑者と同じような服装の人を見つけた場合などがこれに当てはまるでしょう。


さらに、警職法では、「停止させて質問することができる」とありますね。

不審事由がある人に対しては、質問のために停止させることができるわけです。
停止させるとは、ある程度の有形力の行使(逃げようとする者のベルトをひっつかまえるとか、腕をつかむとか)が認められるわけです。
判例では、急発進しようとする車のキーを抜く行為などでもOKとされています。


所持品検査は、明文上の規定はないです。
しかし、判例では、「職務質問に付随する行為」として認められています。つまり、職務質問するにあたって、何持ってるの?とか聞くことがあるし、その質問の延長でバック開けるとかいうこともまぁあるでしょ?ってことですな。
あくまでも、職務質問の効力を上げる付随行為ですんで、不審者発見→腕をつかむ→バック開けるという行為は違法だと解されます。十分な質問を行った上で、ということになるでしょう。


以上が職務質問ができる根拠です。さきほど、有形力の行使ができるといいましたが、どこまでできるのか? それが、任意捜査の限界という問題です。



任意捜査とは、強制捜査じゃないこと。
強制捜査は、法律の根拠なしにはできない捜査手法。
強制捜査にあたる行為は、プライバシーの侵害とか、捜査される側の人間に法律上の利益の侵害が大きいため、あらかじめ法律で決めとく(国民→国会→国民を縛る法律 というプロセスを経ているからダイジョウブだろ)ってことです。


この考えから、任意捜査ってのは、法律上の利益侵害がそれほど大きくない場合は、さっきのプロセスなくてもやっちゃっていいじゃん、ということになる。
でも、一応、利益侵害があるから、任意捜査する必要があるとか、緊急性があるとか、やるにしても相当な程度で、という限定がつく、というのが判例の考え。


職務質問、所持品検査もこの枠を超えられないってことですね。


なんかダラダラとながーくなってしまった。

簡単にまとめると、
・職務質問は不審事由がある場合認められる。

・所持品検査は職務質問に実効性を高める為の付随行為なんで、職務質問を十分やった後で。

・職務質問、所持品検査は任意捜査でもあるから、必要性、緊急性、相当性を考慮して、その枠内で認められる。


ってことです。因みに、捜査される人がバック見せることとか、職務質問なんかに同意する場合は任意捜査として問題なく認められます。

さて、さっきの記事の事例だと。。


不審事由:記事からはわかりませんねー。アキバ系っぽい、ただリュック背負って歩いている人っていうレベルだったら、不審事由はなしとみるべきでしょう。


職務質問の限界として:不審事由とからめて、抱いた不審事由が強盗やら殺人やらというものであれば、必要性、緊急性が高いといえそうです。
ただ、「警察官10数人が2時間以上取り囲む」とあるので、2時間も拘束するのは法益侵害の程度が高いので、相当性としてかなり微妙な気がします。不審事由がアキバ系だしーって程度であれば、任意捜査の限界を超えているでしょう。ただ、先日の無差別殺人のこと、秋葉原という地域性を考慮していくと、必要性が高くなるのかもしれません。


所持品検査:『気がついたときには男性は7人くらいの警察官に取り囲まれていて、見ていた人の話では『警察官の職務質問で「荷物を見せろ」と言われ、「なぜ見せなければならないのか」と言ったところ急に荷物に手を入れて調べ始めた。』と記事にはありますね。
荷物にいきなり手をいれ、中を探る行為は、相当に法益の侵害が高い行為だといえます。また、十分な職務質問もないといえます。

判例だと、強盗の逃亡犯おぼしき者に2時間程度職務質問をして、バックを開けて中を覗いた行為を適法、麻薬所持おぼしき者のポケットに手を突っ込んだ事例で違法としています。(容疑の程度、職質の先行性なども違うのでなんともいえないですが。)

これも、違法性ありといえそうな感じですね。


さて、違法だとどうなるのか。タイーホされた場合、捜査手続きの違法を主張して、勾留請求の時に異議を申し立てることになります。

また、民事では、国賠による損害賠償請求が可能です。まぁ、裁判所が認めるかとか、証拠が集められるか、といった点はキビシイかと思いますが。



最後に、「令状を持ってこないと現行犯逮捕できないだろう」と記事の中にありますが、現行犯逮捕において、逮捕状は必要ありません。
令状は、捜査機関が無茶苦茶しないように裁判官の事前審査がなければ逮捕とか家宅捜索(捜索差押え)できないようにした、という趣旨です。
現行犯だと、さすがに犯人間違えないだろ、事前審査いらんだろ、という観点から、憲法上も無令状で執行が可能としています。

まぁ、現行犯逮捕でホントに警察がむちゃしてないか、っていうと疑問がありますが。


法律的にわかりやすく ってわりにわかりにくいなぁ


あ、最初の問いに答えてないですね。職務質問にあったらどうするか。
・応じる義務はない。が、応じないと結構しつこい。2時間押し問答とか嫌でしょ?
・そのまま質問に応じず、数時間頑張れば、相当性の点から違法となることとなる。判例では6〜7時間とか所持品見せろとか言われて応じなかったやつで違法とかあった気がする。よっぽど暇でない限り応じるのが吉。
・何かやばいもの持ってたら、拒否してひたすら頑張る。でも、重大事件が周りであったりすると警察の多少の無茶も許される。
・同意を求めず、また同意する前にいきなりバックやらポケットに手を突っ込むのは違法。国賠とかで国を訴える。

まぁ、応じとけってことですよ。
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コメント
  • なつ(2008/06/18 19:54)
    先週の土曜言ってきたけど、目の前で職質&持ち物検査されてる人みたんだけど。人の往来の激しいところでエロ同人晒されてる人居て、ちょーあうあうwwプライバシーもあったもんじゃありませんぜ。
  • vivo(2008/06/22 01:30)
    (ノ∇`)アチャー まぁ、そんな場合、警職法2条2項で近くの警察署に同行を求めるのがスジでしょうねぇ。 アキバなら路上でそれくらいの同人誌広げるガッツくらいありそうだがなぁ。 某日のビックサイト周辺みたいな。 
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■2008年04月09日(水)01:20  裁判員制度
施行が決まったようで。中日新聞夕刊は一面だった。


日本では世論の反対が強い裁判員制度。


どんな内容なのかは最高裁のHPに任せるとして
http://www.saibanin.courts.go.jp/qa/index.html


裁判所が裁判員制度導入を目論見、刑事裁判を迅速に行う試験を行うなど(ホリエモンの裁判はそのモデルでしょう。)試行錯誤を行っていたものの、ようやくその目処がついた、ということなんだろうね。


裁判所だけでなく、検察にも変化が見えたりもする。


例えば、今まで不鮮明だった、検察の取調べがある程度透明化するだろうこと。


密室で行われている取調べ。例えば被告人が自白したとしても、長時間の取調べやら検察官の追求によって有りもしないことを述べてしまったのか、正直に述べているのかどうかは裁判において分かりにくい。(刑訴法319条 強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。とある。)


最近の裁判例では、下級審であるものの、検察側に取調べの内容を録画したDVDの証拠採用を認めたものもあったりする。

ただ、取調べの一部についてのDVD、しかも、検察側が自白の任意性を証明するために証拠採用を求めたものなので、まだ完全にとはいえないのが現状。これが取調べ全体について録画したDVDであるならばまだしも。

因みに、検察は取調べを録画することにかなり消極的。

しかし、DVDの提出を認める裁判例が続出すれば、検察も変わってくるんだろう。現に、録画を進めていたりというところもあるよう。


と、プラス面も色々あったりするものの、マイナス面もある。

世論ってもマスコミが言ってることなので、どこまでホントか知らないけど、まぁ、ホントに国民は裁判員制度には反対なんでしょうね。実際、裁判員やれって言われたら何をどうしたらよいのか不安だし、もし裁判員による裁判にかけられる被告人としても嫌だろうし。


全く関係ないけど、裁判員制度スタートすると、これに絡んだ詐欺事件とか発生しないかなぁ。裁判員に選ばれましたみたいな手紙が届いて、辞退したかったら10万円振り込んでくださいみたいな。

まぁ、始まってみればどうなるか分かるだろうね。
初公判は来年7月頃っていう報道なんで、それくらいには分かるだろう。

裁判員、参加してみたいですか?



被告として裁判員裁判に参加するのはやめよーね。注目はされるだろうけど。
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■2008年03月20日(木)01:30  静岡県といえば

静岡のまんなかあたりに行ってきました。
写真は御前崎。台風が来るとやたら映るところ。



コンセプトは観光。

静岡中部の名物っていえば?


お茶?

それもあるけど、やっぱり



ご存知。浜岡原子力館。

浜岡原発のしくみやら構造の説明やら、原寸大の原子炉模型とかあった。

でも入り口には何故か恐竜。恐竜の歴史やら?
なんだここ。


まだまだ観光地はあるんですよー


温泉とか?


いやいや


ご存知。しらすアイス。


しらすが入っているものの、味は至って普通。しらすの味はしない。
美味しかったよ?

御前崎海水浴場近くのなぶら館ってところで売ってる。
因みに、知多半島でもしらすアイスを売っていた。



焼津にも行ってきたよぉ


焼津っていえば魚。

マグロとかだよねぇ。


そんな焼津での観光スポットといえばやっぱり、


深層水ミュージアム。知ってるでしょぉ?
入場無料。


ワンフロアしかなくって、深層水ってすげーぞっていうことが書いてあった。


後、深層水を実際に売っている。これは原水(海水)だけど、ちゃんと淡水処理されたやつもあった。ミュージアム内でお金払えば深層水がGETできる。


行ったのが土曜日ということもあってか、思ったよりヒトが来る。
深層水って体に良いのかね?



最後に、温泉。

大井川鑯道の路線が露天風呂から見ることができる。

大井川鑯道は日本で数少ないSLの動体保存をしている会社なので、温泉からSLが見れたりする。ただ、SLは一日一往復が基本なので、ベストタイミングでいかないとならないが。
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■2008年03月14日(金)04:11  電波系
すごい商品を発見しましたよ


その名も「α−ジーニアス」


なにやら高校の時に使っていた辞書のようなネーミング。だけどすごい。


なんと有害な電磁波を有益に、悪玉電磁波を善玉電磁波にしてしまうという商品ナノダ!


そんな商品はコチラ



さて、この商品の宣伝文句は・・

冷蔵庫     →食品が長持ち
パソコン・テレビ→仕事がはかどる


この辺はまぁ、わからんでもない。


携帯電話    →会話もはずむ

まぁ、イライラしねぇって事か?やや苦しい。



洗濯機     →取り出しラクラク


どうして取り出しがラクラクになるんだ??



最後には体験談なんてのもありますねー

最近まで携帯電話を枕元に置いて休んでいたら、ズキズキしてたまりませんでした。近頃は快適な睡眠が出来ています。


そう思うならコレ使わずに携帯別の場所においとけばいいんでは?
てゆーか、あんたがデンパ受信してr(・∀・)



まずテレビで試しました。心なしか画面の色合いがくっきりした ような気が・・・ 次にパソコンで試しました。動作が早くなった 気がする。最近ファイルを1つ削除するにしても遅いと感じることがあったので そんなところでしょうか。1個しかないので冷蔵庫やレンジで試せない のがとても残念です。


パソコンの動作が早くなった んですか〜 ほんとうですかー
まぁ、気がするだけでしょうね。


私は近眼、乱視ですが、メガネをかけないでパソコンの画面を見ていても最近は大丈夫です。
(冷蔵庫の)コンプレッサーの音がうるさかったのが気にならなくなった。



善玉電磁波すげー。近眼まで治るのか
てか、あんたらがデンパだかr(ノ▽`)



てか、そもそも「善玉電磁波」って何ですか?

理系のヒト、レスよろ〜
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■2007年11月22日(木)03:10 
「裁判官の爆笑お言葉集」なんて本が売れてるそーだが、たまに判決文などでもおもしろいものを見かけたりする。

まぁ、裁判官なんて、ずーっと遊びもせず司法試験を数年〜十数年受けてきたような連中なんで、常識がないってか、常軌を逸している連中の集まりなので、しかたないなーって面もあるんだろうけど。

今回みっけたのは、事案が特に凄い。簡単に事実と判決を紹介すると


婚姻取消請求事件
東京家庭裁判所平成18年7月26日

原告は33歳の韓国人男性。被告は52歳の日本人女性。

被告が「年齢が24歳」で「ロシアで,ロシア人の父と日本人の母との間に生まれ」,「バレーのダンサー」であったが,「14歳の時に父母とともに来日した」などと虚偽の事実を言って,原告をその旨誤信させて,婚姻意思を決定させたとして婚姻の取消を求めた。


この時点で事案が尋常じゃない。
どうやったらだまされるんだと小一時間。

しかも、判決理由中にある事実では、
「原告と被告は,平成17年2月2日婚姻届出をし,同月12日披露宴を行った後,翌13日ないし18日に新婚旅行に行った。」
しかし,平成17年2月19日に原被告間に争いがあり,原告は被告自宅を出て,以降別居している」

って成田離婚状態。おそらく、新婚旅行中に年がバレたんやね(ノ▽`)


更に原告の提出した証拠や主張に対しての裁判官の判断ですが、

原告は,被告から,被告はロシア生まれでロシアから帰国した際に戸籍がなかったため,裁判官である祖父に依頼して他人の戸籍を流用したもので,戸籍上の生年月日は真実のものでないと言われて,そう信じていたと供述する。しかし,いかに原告が外国人であるといっても,約6年以上も日本に滞在しており,日本社会において,そのようなことが不可能であることは理解できたはずではないかとも考えられよう。しかし,原告の言動からは,そのように信じこんでいたことが窺え,この点はそのように信じた原告が愚かというべきであるが,結婚に至るような熱愛中の男女の仲であれば,冷静な判断ができないこともあり得るところであり,かかる事情から,原告が被告の年齢を知っていたということもできないと思われる。

被告の外見等について
 原告は,被告の外見は若く一見して50代には見えないと主張する。人の外見から実年齢を判断することは必ずしも容易ではないが,たしかに写真(乙3ないし5)に写った被告の服装や容貌からは一見して50代には見えないかもしれない。また,被告のメール内容も,(^o^)などの顔文字や★,★などの記号を多用しており,その書きっぷりからは,50代の女性のものとは思えないかもしれない。
 しかし,そうはいっても,遠目ならともかく,原告は,被告と結婚するまでに約9か月の親密な交際期間があって,何度も肌を接していることが認められ,原告には過去に交際した女性も何人かいること(以上,原告本人)にも照らして,仮に50代には見えないとしても20代であることに疑いを持つことはなかったのか問題である。しかし,原告の供述によれば,被告と初めて関係を持ったときに出血があったことから若い女性であると信じたとするが,そうしたことから,原告が被告の年齢に疑問を持たなかったとしてもさほど不自然とまではいえない。

なんて判断しちゃってます。
ホントに不自然じゃないのか?どうよ。

最後に、裁判官の結論では

女性の心理として多少なりとも若く見せたいことは十分理解できることであり,多少真実の年齢と差があってもそれだけでは婚姻取消を認めるわけにはいかないと思われるが,52と24では大変な違いであり,婚姻後の生活設計も土台から異なってくるような違いである。

先に述べたように,自己の年齢を偽ることは,女性の心理として理解できなくはないが,20以上も違うのではあまりにも鯖の読み過ぎであり,詐欺行為の違法性は決して低くはない。

とおっしゃっています。

20以上も違うのではあまりにも「鯖の読み過ぎ」であり って判決理由中に書かなくても良いのにねぇ。



鯖の読み過ぎには気をつけよう(^o^)。
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■2007年10月17日(水)01:08  お兄ちゃんは悪くない
「お兄ちゃんは悪くない」女児が男をかばう 小6誘拐事件asahi.com

この男の容疑は「未成年者誘拐罪」(刑法224条)で逮捕されたようですね。

誘拐とは、誘惑などの間接的な手段を用いて、被害者を以前の生活環境から離脱させて、自分、または他人の支配下に置くことを言います。被害者が未成年者であれば、未成年者誘拐罪が成立するわけです。

しかし、女児が同意しているんだから犯罪になるのか? という疑問が生じますね。

略取・誘拐罪は、被害者の身体の自由を守るための法律です。そう考えると、自由にマンションから出入りできる状態であったし、被害者が同意しているし、身体の自由が脅かされていたとは言い切れない気がします。

ただ、大多数の刑法学者、実務においては未成年者などの保護を必要とする者の誘拐では、親などの親権者の監督権も守るものであると考えられています。

とすると、この女児が同意していようが、親の監督権が脅かされているので、誘拐罪が成立するってことになるのですよ。

ちなみに、略取誘拐罪は親告罪です。親告権者は、この場合、女児、その親になります。
刑訴法上、原則として犯人を知った日から6か月経過後は告訴することができないとあるので、もしこの期間に親告がなければ、検察官が公訴提起できないことになります。その場合、被疑者が勾留されている、取り調べを受けている(世間一般で言うところの、「警察に捕まっている」っていう状態ですね)としても、公訴の可能性がなくなった時点で捜査、勾留は打ち切りになります。

捜査が裁判での(または、裁判に持ち込むための)証拠集めのため、勾留が被疑者が裁判前に逃げないようにするためであるので、親告がなく、裁判に持ち込めない場合には捜査、勾留は必要なくなるからです。
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■2007年01月27日(土)01:16  民法772条
かなり放置してました。このHP。

それなりに忙しかったと言うことで。あ、あけましておめでとうございます。
遅いか。。


「離婚後300日以内に生まれた子供が「前夫の子」とされる民法772条・・・」

というニュースを昼やっておりました。

第772条1項 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2項 婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

とあるわけで、離婚後300日以内の子→婚姻中に懐胎と推定(2項)→夫の子と推定(1項)ということになります。

一応、推定規定なので、反証があれば推定は覆ります。
(法律でいう「推定」とは、(裁判上での)反証がなければ、条文に書いてある通りの効果(法律効果)が発生するということ。
また、同じようなものに「みなす」というのがあり、これは反証があろうが、事実と異なろうが法律効果が生じるってものです。)

最高裁判例では、妻が懐胎したと思われる時期に夫が服役中であった事例、事実上の離婚(事例では、別居)していた場合に、「民法772条の推定は及ばない」としたものがあります。ただし、客観的に見て、どう考えてもこりゃ推定が及ばないだろうというものでしか認めていないといった感じです。(主観的な事情でわかるものは認めない)

主観的な事情でわかるものでも、「嫡出否認の訴」(民法774条)によって、争うことができますが、提訴権者は父だけです。


という、法律上の問題があり、さっき載せた新聞記事のような声が上がっているのでしょう。


なぜ、最高裁が主観的な事情でわかるもの(最高裁判例ではないですが、例えば、DNA判定で722条の推定が及ばないことが科学的に証明されたなど)も認めないのかというと、例えばDNA判定で夫の子ではないとされたときに、その子供が別に(血の繋がってない)父親と関係が良好で、家庭円満であったのに、その家庭を崩壊させることになりかねない。


裁判所では、科学的な血の繋がりのみをもって親子関係を決めていくのではなく、すでに家庭として成り立っているなら、特段それを壊すようなことはするべきでない、という考えのもとに判断を下しているようです。


先の記事の中にあった「井戸さん」の事例を見ると、別居が数年あることから、裁判で722条の推定の及ばないという判断がなされるでしょう(現に強制認知が認められているので、722条の推定が及ばないという判断がなされていると考えられます。推定を受けていると、認知はできないので。)

ただ、これは裁判上のお話。

戸籍実務や出生届(も父の名前書くんですよね?)など、行政側からすれば、どうやって前夫の子か、今の夫の子か判断しようがないです。

DNA鑑定書とかを添付されたところで、それが真性のものかなどを行政(窓口の人)に任せるのは問題があるでしょう。(戸籍官吏(役場の窓口のおっさん)には、形式的審査権(形式上、書類が法律に反していないか、書式が間違ってないかの判断)しかない)

DVなんかで離婚した人達だと、「前夫に(裁判で)顔を合わせたくない」などという人もいるなど、裁判でなら片がつくといえ、中々難しい問題のようです。

民法722条は学者からも色々批判のある条文ですが、では、どのように改正するのが良いのか。300日という規定を無くせばいいといっても、今度は逆に前夫の子が今の夫の子として届け出が可能になるということで、果たしてそれでいいのか?といった問題もあるでしょう。

どうするのがよいのでしょうねぇ。
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